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個室付浴場事件(昭和53年6月16日)

行政書士試験の最重要科目『行政法』での有名な判例のひとつ

一般的な法理論での有名判例「個室付浴場事件」

わかりやすく解説していきます。

目次

事案

被告会社Yは個室付公衆浴場営業を開始した。

もちろん、その建物は建築確認も行い、個室付浴場業の営業許可もYは受けていた。

ところが、地元住民から「この地域にソープランドなんていかがわしい!!!」などと反対運動が起こったため、当時の山形県知事は個室付浴場の営業を阻止するための計画を企てた。

そこで風俗営業法(風営法)では、児童福祉施設から200メートル以内で個室付浴場を営むことが禁止されているということを利用し、当該施設から200メートル以内にある無認可の児童遊園に認可を与えたことで、Yは風営法違反で起訴されてしまった。

これに対してYは、県知事がした児童遊園の認可は、ソープランドの営業を阻止するためにわざとやったんじゃないか!行政権の濫用だ!と無罪を主張した。

めろン

主な争点としては、
この知事の処分は行政権の濫用にあたり
違法なのかという所ですな

争点・結論

争点結論
個室付浴場業の規則を主たる動機・目的とする知事がした本件児童遊園設置認可処分は、行政権の濫用に相当する違法性があるといえるか。行政権の濫用に相当する違法性がある。
児童遊園は、児童の福祉のために設置する施設であり、設置認可もその趣旨にそってなされるべき。
もちろん認可処分は知事の裁量に属する行為ではあるが、今回はYの営業を阻止する目的にした認可処分であるならばそれは行政権の権利の濫用にあたるといえる。

判旨

「本来、児童遊園は、児童に健全な遊びを与えてその健康を増進し、情操をゆたかにすることを目的とする施設(児童福祉法40条参照)なのであるから、児童遊園設置の認可申請、同認可処分もその趣旨に沿ってなされるべきものであって、前記ののような被告会社のトルコぶろ営業の規制を主たる動機、目的とする町の児童遊園設置の認可申請を容れた本件許可処分は、行政権の濫用に相当する違法性があり、被告会社のトルコぶろ営業に対しこれを規制しうる効力を有しないといわざるをえない。」

まとめ

この事件は営業停止処分の取り消し訴訟ののち国家賠償訴訟に切り替え、さらに刑事事件についても最高裁まであらそった。

ちなみにこの風俗店は「トルコハワイ」という店名で現在でも建物は存在し、一部の法学部生などが『重要判例の聖地巡礼』で訪れているとかどうとか。

試験勉強に疲れた受験生に、オ?とインパクトを与えてくれる判例ベスト3には入るのでは。

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